アイコムの決算短信<2025年3月期第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

アイコム株式会社は無線通信機器を主なビジネスとしており、国内外の市場での販売を行っている。セグメント情報としては、国内市場、北米市場、欧州市場、アジア・オセアニア市場がある。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内市場ではIP無線機の需要が堅調であり、ストックビジネスが成長している。一方、北米市場では部材調達難の解消に伴い市場在庫が余剰となり、需要が減少している。
・競争における供給の状況：供給側では、電子部品の調達難が一部解消されつつあるが、海外市場では供給力の回復により在庫過剰が発生している。
・既存競合他社について：競合他社も同様の市場環境にあり、特に北米市場では価格競争が激化している。
・新規参入企業について：新規参入企業の動向は不明だが、無線通信機器市場は技術革新が進んでおり、新たなビジネスモデルの導入が求められている。
・代替品について：代替品としては、他の通信手段やデジタル通信技術が挙げられ、特にIP無線機の普及が影響を与えている。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の売上高は266億1千3百万円で前年同期比3.5％減、営業利益は24億5千7百万円で13.9％減、経常利益は28億5千3百万円で18.6％減、親会社株主に帰属する四半期純利益は20億2千9百万円で21.3％減となった。減収の主な要因は、北米市場でのバックオーダー供給の反動によるものである。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高38,000百万円、営業利益3,500百万円、経常利益3,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,800百万円である。リスク要因としては、米国の通商政策や中国経済の減速、地政学リスクの高まりが挙げられる。これらの要因が業績に与える影響は不透明である。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当額は54.00円であり、前期からの変更はない。株主還元の方針は維持されているが、業績の減少に伴い配当の安定性が懸念される。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。