デクセリアルズの決算短信<2025年３月期 第３四半期決算短信〔ＩＦＲＳ〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

デクセリアルズ株式会社は、光学材料部品事業と電子材料部品事業の2つの主要セグメントを持つ。光学材料部品事業では、反射防止フィルムや光学樹脂材料が中心であり、電子材料部品事業では、異方性導電膜（ACF）や光半導体が主力製品である。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：コンシューマーIT製品向けの差異化技術製品の需要が高まっており、特にノートPCやスマートフォン向けの需要が堅調である。
・競争における供給の状況：供給側では、原材料の価格変動や供給チェーンの影響が見られるが、企業は高付加価値製品の拡大に注力している。
・既存競合他社について：競合他社は、同様の製品を提供しており、特にアジア市場での競争が激化している。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、技術革新を背景に新たなプレイヤーが市場に参入する可能性がある。
・代替品について：代替品としては、他の光学材料や電子部品が考えられ、特にコスト競争力のある製品が脅威となる。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の業績は、売上高87,163百万円（前年同期比8.0％増）、事業利益31,865百万円（同12.6％増）、親会社の所有者に帰属する四半期利益23,356百万円（同26.3％増）であった。前年同期に比べて、蛍光体フィルムの販売終了の影響を受けつつも、反射防止フィルムや高付加価値製品の需要が増加したことが業績を押し上げた。業績予想との乖離は、売上高が想定を上回る結果となった。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高110,000百万円（前年比4.6％増）、事業利益37,000百万円（同8.5％増）、親会社の所有者に帰属する当期利益27,000百万円（同19.6％増）とされている。為替の影響や高付加価値製品の拡大が成長を支える要因とされるが、リスク要因としては、国際的な経済情勢や原材料価格の変動が挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の期末配当予想が32円に修正され、年間配当金は58円となる見込みである。これは、安定的な配当を考慮した結果であり、株主還元方針に基づくものである。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「上昇」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であれば、株価の反応は「横ばい」となるが、全体的な市場環境や企業の成長期待から上昇が見込まれる。