三井住友建設の決算短信<2025年３月期　第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

三井住友建設株式会社は、土木工事と建築工事の2つの主要セグメントで構成されている。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内建設市場は公共事業投資が堅調であり、民間設備投資も持ち直しの動きが見られるが、全体的な需要は建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫に影響を受けている。
・競争における供給の状況：建設資材の供給が厳しく、労働力不足が続いているため、供給面での制約が顕著である。特に、時間外労働の上限規制が影響を与えている。
・既存競合他社について：競合他社も同様の環境に直面しており、特に大型建築工事においては、工事損失の計上が相次いでいるため、競争が激化している。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、既存企業の業績悪化を受けて、参入の機会を狙う企業が出てくる可能性がある。
・代替品について：代替品としては、プレファブ工法や新技術を用いた建設方法が考えられ、これらが市場に浸透することで競争が激化する可能性がある。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高343,243百万円、営業利益1,628百万円、経常利益は877百万円の損失、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,489百万円の損失となった。前年同期比で売上高は2.8%減少し、営業利益は84.6%の減少を記録した。業績悪化の主な要因は、国内大型建築工事における工事損失の追加計上である。前期との比較では、売上高が98億円減少し、営業利益は89億円減少した。業績予想との乖離も見られ、特に経常利益が予想を大きく下回った。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高455,000百万円、営業利益2,500百万円、経常利益3,000百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益は5,500百万円の損失とされている。業績予想の修正は、建築工事における採算回復や特別利益の計上が主な要因である。リスク要因としては、建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫が挙げられ、これらが業績に与える影響が懸念される。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当は14.00円であり、前期から変更はない。配当の維持は、企業の財務状況を考慮した結果であるが、業績の悪化が続く場合には将来的な配当の見直しが必要となる可能性がある。

5. 株価予想

業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、向こう3ヶ月以内の株価は「横ばい」と予想される。業績の回復が見込まれる場合には、株価の上昇も期待できるが、リスク要因が多いため慎重な見方が必要である。