資生堂の決算短信<2024年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)>銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は化粧品業界に属し、主に日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州、トラベルリテールのセグメントで事業を展開している。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内化粧品市場は物価上昇の影響を受けつつも堅調に推移している。訪日外国人旅行者数は過去最高を更新したが、インバウンド消費は緩やかな成長にとどまっている。海外市場では、中国市場の消費減速が影響を及ぼしている。
・競争における供給の状況：競合他社は新製品の投入やマーケティング戦略を強化しており、特にデジタルチャネルを通じた販売が増加している。供給側では、原材料費の高騰が影響を与えている。
・既存競合他社について：資生堂の競合には、コーセー、花王、L'Oréalなどがあり、各社はブランド力や製品の多様性を武器に競争している。特に、海外市場ではL'Oréalが強力な競争相手となっている。
・新規参入企業について：新規参入企業は主にナチュラル・オーガニック製品を提供するブランドが増えており、消費者の健康志向に応じた製品が注目を集めている。
・代替品について：スキンケアやメイクアップ製品の代替品として、ナチュラルコスメやDIY化粧品が人気を集めており、特に若年層の消費者に支持されている。

2. 当期業績の内容

2024年12月期の売上高は990,586百万円で前年比1.8％増加したが、コア営業利益は36,359百万円で前年比8.7％減少した。営業利益は7,575百万円で前年比73.1％の大幅減となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は10,813百万円の損失となった。前期の業績予想と比較しても乖離が見られ、特に営業利益の減少が顕著であった。

3. 次期業績予想の内容

2025年12月期の売上高は995,000百万円、コア営業利益は36,500百万円を見込んでいる。業績予想の根拠としては、国内市場の回復や新製品の投入、コスト構造改革の効果が挙げられる。ただし、中国市場の消費低下や為替リスク、競争の激化がリスク要因として存在する。

4. 投資に関する事項

2024年12月期の配当は40円で、前期の60円から減配となった。減配の理由は、当期の業績悪化に伴う利益の減少であり、今後の業績回復を見据えた慎重な配当政策が求められる。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。