日本製紙の決算短信<2025年３月期　第３四半期決算短信〔日本基準〕(連結)>銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は以下のセグメントで構成されている。

- 紙・板紙事業

- 生活関連事業

- エネルギー事業

- 木材・建材・土木建設関連事業

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内の紙・板紙事業は新聞用紙や印刷用紙の需要減少が続いており、特に個人消費の落ち込みが影響している。生活関連事業では、インバウンド需要の増加やヘルスケア製品の需要が堅調であるが、液体用紙容器の需要は減少している。エネルギー事業はメンテナンス休転の影響で売上が減少している。
・競争における供給の状況：供給側では、原材料価格の高騰や物流コストの上昇が影響しており、企業はコスト削減や価格修正を進めている。特に、円安の影響で輸出が拡大しているが、国内市場では競争が激化している。
・既存競合他社について：競合他社は、同様の市場環境に直面しており、価格競争が激化している。特に、グラフィック用紙事業では、他社も生産体制の見直しを進めており、競争力の強化が求められている。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、環境意識の高まりにより、持続可能な製品を提供する企業が注目されている。これにより、既存企業も環境対策を強化する必要がある。
・代替品について：デジタル化の進展により、紙の代替品として電子メディアが普及している。特に、印刷用紙の需要は減少傾向にあり、企業は新たなビジネスモデルの構築が求められている。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高886,273百万円（前年同期比1.3％増）、営業利益11,096百万円（前年同期比19.2％増）、経常利益12,805百万円（前年同期比68.4％増）、親会社株主に帰属する四半期純利益57百万円であった。前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失8,297百万円であった。業績の改善は、輸出の拡販や製品価格の修正、円安の影響によるものであるが、減損損失や特別損失が影響している。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の連結業績予想は、売上高1,200,000百万円（対前期増減率2.8％）、営業利益23,000百万円（33.2％増）、経常利益19,000百万円（30.6％増）、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円（△86.8％）である。業績予想の根拠は、生活関連事業の需要回復やエネルギー事業の改善が見込まれることにあるが、米国の政策動向や中東地域の情勢、為替相場の変動などのリスク要因も存在する。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当は10.00円であり、前期から変更はない。配当の維持は、企業の安定した収益基盤を反映しているが、業績の変動により将来的な配当政策の見直しが必要となる可能性がある。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。