矢作建設工業の決算短信<2025年３月期 第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

矢作建設工業株式会社は、建設業を中心に、建築工事、土木工事、不動産事業などを展開している。主なセグメントは以下の通り。

- 建築セグメント

- 土木セグメント

- 不動産セグメント

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内経済は緩やかに回復しているが、公共投資は堅調であり、民間設備投資も持ち直しの兆しが見られる。ただし、物価上昇や資材価格の高止まりが影響を及ぼしている。
・競争における供給の状況：建設業界は労働需給が逼迫しており、労務費の上昇が続いている。資材供給も不安定で、価格の高止まりが続いている。
・既存競合他社について：競合他社は多く、特に大手ゼネコンが強い影響力を持っている。競争が激化しており、価格競争が発生している。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、特定のニッチ市場においては新興企業が増加している。特に環境関連の建設やリノベーション市場においては新規参入が見られる。
・代替品について：代替品としては、プレハブ工法や3Dプリンティング技術を用いた建設方法が挙げられる。これらはコスト削減や工期短縮に寄与する可能性がある。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の業績は、売上高97,109百万円（前年同四半期比6.9％増）、営業利益3,318百万円（前年同四半期比63.3％減）、経常利益3,374百万円（前年同四半期比63.1％減）、親会社株主に帰属する四半期純利益2,318百万円（前年同四半期比62.9％減）となった。売上高は増加したものの、利益は大幅に減少した。これは、資材価格の高騰や労務費の上昇が影響していると考えられる。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の業績予想は、売上高140,000百万円（前年比16.8％増）、営業利益8,200百万円（前年比13.8％減）、経常利益8,200百万円（前年比14.5％減）、親会社株主に帰属する当期純利益5,400百万円（前年比16.4％減）である。リスク要因としては、ウクライナ問題や中東情勢の影響、また中国経済の減速が挙げられる。これらの要因が業績に与える影響は不透明であり、注意が必要である。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の年間配当金は80円（普通配当60円、創立75周年記念配当20円）を予定している。前期からの変更はなく、安定した配当政策を維持している。配当の維持は、株主還元の一環として重要である。

5. 株価予想

業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は「横ばい」と予想される。市場の不透明感や競争環境の厳しさが影響し、急激な株価変動は考えにくい。