昭栄薬品の決算短信<2025年３月期 第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

昭栄薬品株式会社は、化学品事業、日用品事業、土木建設資材事業の3つのセグメントで構成されている。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内外の経済活動の正常化が進み、特に自動車関連や繊維油剤関連の需要が堅調である。訪日外国人数の増加によりインバウンド需要も拡大しているが、個人消費の回復は依然として不透明な状況が続いている。
・競争における供給の状況：原材料の供給は安定しているが、天然油脂相場の上昇が影響を及ぼしている。これにより、仕入れ価格が上昇し、販売価格への転嫁が求められている。
・既存競合他社について：競合他社も同様の市場環境にあり、価格競争が激化している。特に、化学品事業においては、国内外の大手企業が競争相手となっている。
・新規参入企業について：新規参入企業の動向は限定的であるが、環境意識の高まりにより、エコ商品を扱う企業が増加している。これにより、既存企業も環境対応を強化する必要がある。
・代替品について：代替品の脅威は中程度であり、特に日用品事業においては、安価な輸入品や自社製品の代替品が市場に存在する。化学品事業でも、代替原料の開発が進んでいる。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が18,890百万円（前年同四半期比11.4％増）、営業利益497百万円（同32.0％増）、経常利益637百万円（同25.8％増）、親会社株主に帰属する四半期純利益437百万円（同22.9％増）であった。前年同期は業績が低迷していたが、今期は需要の回復と価格転嫁の努力が功を奏した。業績予想との乖離は特に見られない。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高23,677百万円（前期比4.8％増）、営業利益495百万円（同12.5％増）、経常利益661百万円（同1.5％増）、親会社株主に帰属する当期純利益460百万円（同6.4％減）である。業績の成長は、化学品事業の需要増加と新興国市場への拡大に依存しているが、地政学リスクや原材料価格の変動がリスク要因として挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当は38円であり、前期と同額である。配当維持の理由は、安定した利益基盤を背景にした株主還元の方針によるものである。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率も当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。