熊谷組の決算短信<2025年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)>銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は建設業に属し、主に土木事業と建築事業を展開している。セグメント情報としては、民間建設、公共建設、関連事業が含まれる。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内の建設業界は、民間企業の建設投資が堅調であり、公共投資も安定している。特に、自然災害対策やインフラ整備に対する需要が高まっている。
・競争における供給の状況：建設業界全体での供給は、資材費や労務費の高止まりが影響し、コストが上昇している。これにより、利益率が圧迫される傾向が見られる。
・既存競合他社について：競合他社は多く存在し、特に大手ゼネコンが市場を占有している。競争が激化しており、価格競争が利益率に影響を与えている。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、特定のニッチ市場においては新興企業が増加している。これにより、特定の分野での競争が激化する可能性がある。
・代替品について：代替品としては、プレファブ建材や新技術を用いた建設方法が挙げられる。これらはコスト削減や工期短縮に寄与するため、競争力を高める要因となる。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、完成工事高が330,709百万円（前年同期比7.5％増）であったが、営業利益は1,581百万円（82.9％減）、経常利益は1,575百万円（83.1％減）、親会社株主に帰属する四半期純利益は583百万円（90.1％減）となった。前年同期に比べて利益が大幅に減少した要因は、売上総利益率の低下とコストの増加である。前期との乖離は顕著であり、業績予想との乖離も大きい。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の連結業績予想は、完成工事高490,000百万円（前期比10.6％増）、営業利益11,800百万円（同6.7％減）、経常利益12,000百万円（同8.0％減）、親会社株主に帰属する当期純利益7,700百万円（同7.4％減）である。リスク要因としては、資材費や労務費の高止まり、海外経済の不安定さ、地政学的リスクが挙げられる。これらが業績に与える影響を注視する必要がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の配当は1株当たり130円を予定している。これは、当初の利益計画を減額したものの、株主への適正かつ安定的な利益還元を基本方針としているためである。前期からの変更はない。

5. 株価予想

上記を考慮し、向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。