ニチハの決算短信<2025年３月期　第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

ニチハ株式会社は、主に外装材事業を中心に、繊維板事業、工事事業、FP事業などを展開している。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内住宅市場は新設住宅着工戸数が前年同期比で減少しており、特に戸建住宅は5.4％の落ち込みが見られる。これにより、外装材の需要も影響を受けている。海外市場では、米国の住宅市場が住宅価格の上昇や金利の高止まりにより不安定な状況が続いている。
・競争における供給の状況：国内外装材市場では、競合他社が価格競争を強化しており、コスト削減が求められている。特に物流費や資材価格の高騰が企業の利益を圧迫している。
・既存競合他社について：ニチハの競合には、同じく外装材を扱う企業が多く、特に窯業系外装材のシェアを争っている。競合他社も価格改定を行い、シェア拡大を狙っている。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、既存の競合が新製品を投入することで市場シェアを奪う可能性がある。特に環境配慮型の製品が注目されている。
・代替品について：代替品としては、木材や金属系の外装材があり、これらの価格や性能が競争要因となっている。特に環境意識の高まりにより、持続可能な素材が選ばれる傾向が強まっている。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が112,155百万円で前年同期比4.0％の増加を記録したが、営業利益は5,585百万円で27.2％の減益となった。経常利益も6,223百万円で26.5％の減益であり、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,767百万円で33.0％の減益となった。業績の悪化は、国内外装材事業における物流費や資材価格の高騰、米国外装材事業の工場稼働低迷が影響している。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高148,500百万円、営業利益7,000百万円、経常利益7,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,500百万円とされている。リスク要因としては、国内住宅市場の回復が遅れる可能性や、米国市場の金利上昇による影響が挙げられる。特に、為替の変動も業績に影響を与える要因となる。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当は57.00円で、前期と同水準を維持している。自己株式の取得も行っており、株主還元に対する姿勢が見られる。配当額の変更はないが、業績の変動に応じて今後の配当方針が見直される可能性がある。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。