山九の決算短信<2025年３月期　第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

山九株式会社は、物流事業と機工事業の2つの主要セグメントを持つ。物流事業は国際輸送、倉庫保管、梱包作業を含み、機工事業は設備工事やメンテナンスを行う。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：世界的なサービス業の好調やインフレ圧力の緩和により、消費が回復している。特に、米国では個人消費が堅調で、EV関連の設備投資が増加している。国内でもインバウンド需要の回復が見られる。
・競争における供給の状況：国内外での生産活動は回復傾向にあるが、中国の内需低迷が影響を及ぼしている。特に、電子部品や消費財の輸送が低調である。
・既存競合他社について：競合他社も同様に国際輸送や物流サービスを提供しており、価格競争が激化している。特に、国内のプロジェクト輸送案件が増加している中で、競争が厳しい。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、デジタル化の進展により、IT関連企業が物流業界に参入する可能性がある。
・代替品について：代替品としては、他の物流サービスや自社内での物流管理が考えられる。特に、デジタルプラットフォームを利用した新しい物流サービスが台頭している。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の売上高は455,679百万円で前年同期比8.0％増加した。営業利益は32,870百万円で21.6％の増益、経常利益は33,435百万円で18.6％の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は22,278百万円で20.2％の増益となった。前期は売上高421,917百万円であったため、業績は大きく改善している。業績予想との乖離は特に見られない。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高604,000百万円、営業利益41,000百万円、経常利益41,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益28,000百万円とされている。リスク要因としては、中国経済の減速や国内需要の変動が挙げられる。特に、インフラ投資の伸び悩みが影響を及ぼす可能性がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当額は204.00円であり、前期からの増加が見込まれている。配当額の変更理由は、業績の改善に伴う株主還元の強化である。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率も当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。