大同特殊鋼の決算短信<2025年３月期 第３四半期決算短信〔ＩＦＲＳ〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

大同特殊鋼株式会社は、特殊鋼鋼材、機能材料・磁性材料、自動車部品・産業機械部品、エンジニアリング、流通・サービスの5つのセグメントで構成されている。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：自動車関連の特殊鋼受注は、中国市場の販売不振により前年同期比で減少。産業機械関連の特殊鋼受注は回復に足踏みが見られ、ステンレス鋼の受注は前年同期比で増加したが、構造用鋼の需要は減少。半導体関連需要は持ち直しの兆しがあるが、本格的な回復は来期以降と予想される。
・競争における供給の状況：主要原材料である鉄屑価格は高位で推移しているが、最近は弱含み。ニッケル価格も一時的に上昇したが、その後は弱含み。原油・LNG市況は高値で推移し、エネルギーコストが高位にある。
・既存競合他社について：競合他社も同様の市場環境に直面しており、特に自動車関連の需要減少が影響を及ぼしている。競争が激化している中で、コスト削減や販売価格の見直しが求められている。
・新規参入企業について：新規参入企業の影響は限定的だが、特に高機能素材分野では新たな技術を持つ企業が参入する可能性がある。
・代替品について：代替品の影響は特に特殊鋼の分野で見られ、軽量化やコスト削減を求める動きが強まっている。これにより、競争が一層厳しくなる可能性がある。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上収益433,961百万円で前年同期比1.1%減少。営業利益は34,070百万円で10.6%減少。税引前利益は36,653百万円で9.7%減少。親会社の所有者に帰属する四半期利益は24,975百万円で17.5%減少した。前年同期に計上した売却益の影響もあり、業績は予想を下回った。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上収益580,000百万円、営業利益40,000百万円、税引前利益42,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益28,000百万円を見込んでいる。リスク要因としては、海外経済の減速や地政学リスク、特に中国市場の動向が挙げられる。自動車関連の需要が低水準で推移しているため、今後の回復が見込まれるか注視が必要。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当額は47.00円で、前期からの変更はない。自己株式の取得も行っており、株主還元に努めている。配当額の変更がない理由は、安定した利益剰余金の確保によるものである。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。