ゼンリンの決算短信<2025年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は「位置情報サービス関連事業」を主なビジネスセグメントとしている。具体的には、プロダクト事業、公共ソリューション事業、マーケティングソリューション事業、IoT事業、オートモーティブ事業の5つのセグメントがある。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：カーナビゲーション用データやIoT関連サービスの需要が堅調であり、特に自動運転技術の進展に伴い高精度地図データの需要が増加している。
・競争における供給の状況：競合他社も同様のサービスを提供しており、特に大手IT企業が位置情報サービス市場に参入しているため、競争が激化している。
・既存競合他社について：地図データ提供企業や位置情報サービスを展開する企業が多数存在し、特にグーグルやHERE Technologiesなどが強力な競合となっている。
・新規参入企業について：新興企業が増えており、特にAI技術を活用した新しいサービスを提供する企業が目立つ。これにより、競争がさらに激化する可能性がある。
・代替品について：スマートフォンの地図アプリや他の位置情報サービスが代替品として存在し、特に無料で利用できるサービスが多く、価格競争が影響を与えている。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の業績は、売上高44,355百万円（前年同期比5.6％増）、営業利益731百万円、経常利益711百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益541百万円となった。前年同期は営業損失を計上していたが、今期は利益を回復した。売上高の増加は、オートモーティブ関連のカーナビゲーション用データの増収やIoT関連のAPIサービスの好調によるものである。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高64,300百万円（前年比4.8％増）、営業利益3,600百万円（前年比81.7％増）、経常利益3,700百万円（前年比79.6％増）、親会社株主に帰属する当期純利益2,500百万円（前年比20.3％増）と見込まれている。業績予想は概ね計画通りに進捗しているが、リスク要因としては、物価上昇や金融市場の変動、米国の政策動向などが挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の期末配当予想が20.00円に引き上げられ、合計で35.00円となる見込みである。増配の理由は、業績回復に伴う利益の増加によるものである。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「上昇」と予想する。業績が回復し、配当の増加が見込まれることから、投資家の期待感が高まると考えられる。