イリソ電子工業の決算短信<2025年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

イリソ電子工業株式会社は、自動車市場やインダストリアル市場、コンシューマー市場など多岐にわたる事業を展開している。主なセグメントは、自動車関連、FA関連機器、コンシューマー向け製品である。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：自動車市場では、中国の自動車メーカーの生産・販売が堅調であるが、EV市場の成長鈍化や日本・欧州・米国での需要低迷が影響している。インダストリアル市場ではFA関連機器の需要が減少しているが、コンシューマー市場は増加傾向にある。
・競争における供給の状況：供給側では、原材料価格の高騰が影響し、コストが上昇している。特に、半導体不足が続いており、製品供給に影響を与えている。
・既存競合他社について：競合他社は、特に自動車部品メーカーやFA機器メーカーが多く、価格競争が激化している。技術革新が求められる中、競争力を維持するための投資が必要である。
・新規参入企業について：新規参入企業は、特にEV関連のスタートアップが増加しており、技術革新やコスト競争力を武器に市場に参入している。
・代替品について：代替品としては、EVやハイブリッド車の普及が進んでおり、従来の内燃機関車両に対する需要が減少している。また、FA機器においても、IoT技術を活用した新しい製品が登場している。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高42,168百万円（前年同期比2.5%増）、営業利益3,881百万円（同19.0%減）、経常利益4,302百万円（同20.1%減）、親会社株主に帰属する四半期純利益2,917百万円（同32.1%減）であった。売上高は前年同期比で増加したものの、利益面では原材料価格の高騰や売上の伸び悩みが影響し、減少した。業績予想との乖離については、営業利益と経常利益が予想を下回った。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高55,000百万円（前期比0.5%減）、営業利益4,700百万円（同20.8%減）、経常利益4,700百万円（同34.6%減）、親会社株主に帰属する当期純利益1,350百万円（同75.9%減）である。業績予想の修正は、構造改革の実施や特別損失の計上が影響している。リスク要因としては、原材料価格の変動や為替リスク、EV市場の成長鈍化が挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の予想配当金は100円であり、前期からの増配が見込まれている。配当額の変更理由は、自己株式の取得や利益改善を見込んでの株主還元策である。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。