くろがね工作所の決算短信<2024年11月期 決算短信〔日本基準〕（連結）>銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は、主に家具関連事業と建築付帯設備機器事業の2つのセグメントで構成されている。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：オフィス回帰の動きが強まり、特に事務用家具の需要が増加している。ハイブリッドワークの定着により、オフィス環境の改善に向けた投資が活発化している。家庭用家具市場は、少子化やライフスタイルの変化により需要が減少しているが、デザイン性や機能性を重視した商品が求められている。
・競争における供給の状況：原材料価格の高騰や円安の影響で、供給コストが上昇している。これにより、企業は価格転嫁を進めているが、競争が激化しているため、価格競争が続いている。
・既存競合他社について：競合他社は、特にオフィス家具市場において新たなデザインや機能を持つ製品を投入しており、差別化が求められている。特に、米国Steelcase社との提携を強化することで競争力を高めている。
・新規参入企業について：新規参入企業は、特にオンライン販売を通じて市場に参入しており、価格競争を引き起こしている。特に、低価格帯の製品を提供する企業が増加している。
・代替品について：家庭用家具市場では、リサイクル品やDIY製品が代替品として人気を集めている。オフィス家具市場でも、レンタルサービスやサブスクリプションモデルが代替手段として注目されている。

2. 当期業績の内容

2024年11月期の連結業績は、売上高が7,203百万円で前年同期比0.3％増加したが、営業利益は27百万円の損失を計上した。経常利益は19百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は209百万円で、前年同期比82.8％減少した。業績の悪化は、連結子会社の生産工程の混乱や退職加算金の支給による損失が影響している。

3. 次期業績予想の内容

2025年11月期の業績予想は、売上高が7,406百万円で2.8％の増加を見込んでいる。営業利益は110百万円、経常利益は120百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は70百万円と予想されている。リスク要因としては、原材料価格の高騰や円安の影響が挙げられ、特に価格転嫁の進捗が業績に影響を与える可能性がある。

4. 投資に関する事項

配当は、2024年11月期において1株当たり20円の配当を予定しており、配当性向は16.3％となる見込み。前期からの変更はないが、次期も同額を維持する予定である。配当の維持は、業績回復への期待を反映している。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。