星野リゾート・リート投資法人の銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は、観光産業におけるホテル、旅館及び付帯施設への投資を行う不動産投資信託（REIT）である。主なセグメントは、星野リゾートグループが運営する物件とその他のオペレーターが運営する物件に分かれる。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内観光市場は回復基調にあり、2024年1～10月の宿泊者数は前年同期比5.8％増、2019年比8.2％増と好調。インバウンド需要も増加しており、特に10月は過去最高の宿泊者数を記録。
・競争における供給の状況：新規ホテルや旅館の開業が続いているが、星野リゾートグループのブランド力や運営力により、競争優位性を維持している。
・既存競合他社について：競合他社も観光業に注力しているが、星野リゾートの独自性や高いサービス品質が差別化要因となっている。
・新規参入企業について：新規参入はあるものの、ブランド力や運営ノウハウを持つ企業が優位に立つため、参入障壁は高い。
・代替品について：宿泊施設の代替として民泊や短期賃貸が存在するが、星野リゾートの提供する体験価値は高く、顧客の選好に影響を与えている。

2. 当期業績の内容

2024年10月期の業績は、営業収益7,496百万円（前年同期比12.4％増）、営業利益3,485百万円（22.4％増）、経常利益2,735百万円（18.6％増）、当期純利益2,734百万円（16.9％増）であった。前期と比較して大幅な成長を遂げており、特に営業利益の伸びが顕著である。業績予想との乖離は特に見られず、安定した運営が評価されている。

3. 次期業績予想の内容

2025年4月期の業績予想は、営業収益7,645百万円（2.0％増）、営業利益3,459百万円（0.8％減）、経常利益2,698百万円（1.3％減）、当期純利益2,697百万円（1.4％減）とされている。リスク要因としては、個人消費の低迷や海外経済の回復鈍化が挙げられ、物価上昇や人手不足も影響を与える可能性がある。国内旅行ニーズは堅調であるが、コスト上昇には注意が必要。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年10月期の1口当たり分配金は9,218円で、配当性向は98.7％である。前期からの増加は見られず、安定した分配を維持している。次期も同様の配当水準を維持する見込みであるが、内部留保の取り崩しが前提となる。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率も当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は安定すると考えられる。