稲葉製作所の銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は、鋼製物置事業とオフィス家具事業の2つのセグメントで構成されている。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内経済は緩やかな回復傾向にあるが、ウクライナ・中東情勢や中国経済の停滞、エネルギー・原材料価格の上昇が影響し、個人消費は依然として不透明な状況。鋼製物置市場では住宅着工の不安定さから需要が減少しているが、オフィス家具市場は新しい働き方に対応した需要が堅調に推移している。
・競争における供給の状況：鋼製物置市場では、資材価格の高騰や人的資源不足が影響し、供給が不安定。オフィス家具市場では競争が激化しており、企業は新しいデザインや機能を求められている。
・既存競合他社について：鋼製物置市場では、他のメーカーも同様の課題に直面しており、価格競争が激化している。オフィス家具市場では、特に新興企業が新しいデザインや機能を提供し、競争が激化している。
・新規参入企業について：新規参入企業は、特にオフィス家具市場において増加しており、独自のデザインや機能を持つ製品を提供することで市場シェアを獲得しようとしている。
・代替品について：鋼製物置に対しては、木製やプラスチック製の物置が代替品として存在し、価格やデザインの面で競争が生じている。オフィス家具においても、リモートワークの普及により、家庭用家具が代替品として注目されている。

2. 当期業績の内容

2025年7月期第1四半期の業績は、売上高9,997百万円（前年同期比4.1％減）、営業利益334百万円（前年同期比43.4％減）、経常利益416百万円（前年同期比39.1％減）、親会社株主に帰属する四半期純利益270百万円（前年同期比41.0％減）となった。業績の減少は、出荷数の減少に加え、材料費や減価償却費、電力・燃料費の増加が影響している。前期との比較では、売上高が減少し、営業利益も大幅に減少した。業績予想との乖離は特に見られない。

3. 次期業績予想の内容

2025年7月期の業績予想は、売上高44,290百万円（前年同期比4.4％増）、営業利益3,240百万円（前年同期比5.7％増）、経常利益3,600百万円（前年同期比5.8％増）、親会社株主に帰属する当期純利益2,450百万円（前年同期比0.3％増）とされている。業績成長の根拠は、オフィス家具市場の堅調な需要と、鋼製物置市場の回復が期待されることにある。ただし、材料費の高騰や競争の激化がリスク要因として挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年7月期の予想配当は42.00円であり、前期から変更はない。配当の維持は、安定した利益剰余金の確保によるものである。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率も当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。