ダブル・スコープの銘柄分析

1. 環境分析

ダブル・スコープ株式会社は、リチウムイオン二次電池セパレータ事業を主力とし、車載用および民生用のセパレータを提供している。セグメント情報としては、車載向け、民生向け、イオン交換膜事業が含まれる。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：欧州のEV市場の成長鈍化により、リチウムイオン二次電池セパレータの需要が減少している。特に、欧州向けの受注が大きく落ち込んでおり、顧客の在庫調整が進んでいる。
・競争における供給の状況：供給側では、競合他社も同様に需要減少に直面しており、価格競争が激化している。生産ラインの稼働停止や生産量の調整が行われている。
・既存競合他社について：主要な競合には、国内外のリチウムイオン電池メーカーが存在し、特に韓国や中国の企業が強力な競争相手となっている。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、技術革新を持つスタートアップが市場に参入する可能性がある。
・代替品について：代替品としては、固体電池や他のエネルギー貯蔵技術が考えられ、これらの技術が進化することで市場シェアを奪うリスクがある。

2. 当期業績の内容

2025年1月期第3四半期の連結業績は、売上高30,700百万円、営業利益854百万円、経常利益747百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益268百万円であった。前年同期比で売上高は15.3%減少し、営業利益は76.4%減少した。業績予想との乖離は大きく、特に受注量の減少が影響している。

3. 次期業績予想の内容

2025年1月期の通期業績予想は、売上高31,000百万円、営業利益△850百万円、経常利益△1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益△2,300百万円と大幅な悪化が見込まれている。リスク要因としては、欧州市場の補助金政策の変更や米中貿易摩擦の影響が挙げられ、これによりEV需要が低迷することが予想される。正常化は2025年下半期に期待されている。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年1月期の配当予想は0.00円であり、前期から変更はない。業績悪化に伴い、株主還元策としての配当は見送られている。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「下落」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であれば、株価の反応は「横ばい」となるが、現状の業績悪化を考慮すると下落が見込まれる。