ズームの銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は音楽用電子機器事業を展開しており、主な製品にはハンディオーディオレコーダー、デジタルミキサー、マルチトラックレコーダー、マルチエフェクター、プロフェッショナルフィールドレコーダー、ハンディビデオレコーダー、マイクロフォン、ボーカルプロセッサー、オーディオインターフェースなどが含まれる。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：コロナ特需の終了により、旅行やレジャー等の体験消費が旺盛である一方、若年層の可処分所得の減少や急激な為替レートの変動により需要が減少している。
・競争における供給の状況：半導体不足の解消が進んでいるが、依然として供給の不安定さが影響している。特に新製品の投入が遅れていることが影響している。
・既存競合他社について：競合他社も同様の市場環境に直面しており、価格競争が激化している。特に、海外市場での競争が厳しい。
・新規参入企業について：新規参入企業の動きは見られるが、既存の大手企業に対抗するには資本力やブランド力が必要であり、短期的な影響は限定的である。
・代替品について：デジタルコンテンツの普及により、音楽機器の代替品としてスマートフォンやPCが利用されるケースが増えている。

2. 当期業績の内容

2024年12月期第3四半期の連結業績は、売上高12,121百万円（前年同期比3.9％減）、営業損失97百万円、経常損失141百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失464百万円となった。前年同期は売上高12,612百万円、営業利益342百万円であったため、業績は大きく悪化している。特に、為替相場の急変動が影響し、売上総利益が低下したことが主な要因である。

3. 次期業績予想の内容

2024年12月期の連結業績予想は、売上高17,500百万円（対前期増減率△2.2％）、営業利益730百万円（27.3％増）、経常利益640百万円（△1.5％減）である。新製品の展開が期待されるが、為替リスクや市場の不透明感がリスク要因として挙げられる。特に、円安が続く場合、輸入コストが増加し、利益率に影響を与える可能性がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年12月期の予想配当額は31円であり、前期からの増配が見込まれている。これは、業績回復の兆しを反映したものであるが、業績の不透明感から慎重な姿勢も見られる。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。