建設技術研究所の銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は、国内建設コンサルティング事業と海外建設コンサルティング事業の2つのセグメントで構成されている。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内では、改正国土強靱化基本法の施行により公共事業関係費が前年並みに確保され、インフラ老朽化対策や防災・減災対策が進む見込み。海外では、特に東南アジアの経済成長が堅調である一方、英国やオーストラリアでは高金利・高建設コストが影響し、建設市場の低迷が続く可能性がある。
・競争における供給の状況：国内外ともに競争が激化しており、特に新規参入企業の増加が見込まれる。国内では、公共事業の需要が高まる中で、既存企業が競争力を維持するための戦略を強化している。
・既存競合他社について：国内の競合他社は、公共事業の受注を巡って熾烈な競争を繰り広げており、特に大手企業が強い影響力を持っている。海外では、地域ごとに異なる競争環境が存在し、特に東南アジアでは地元企業との競争が重要な要素となる。
・新規参入企業について：新規参入企業が増加しており、特にデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルを持つ企業が注目されている。これにより、既存企業は競争力を維持するために、技術革新やサービスの多様化が求められる。
・代替品について：代替品としては、建設業界における新技術やデジタルソリューションが挙げられる。特に、AIやIoTを活用したサービスが普及することで、従来のコンサルティングサービスに対する需要が変化する可能性がある。

2. 当期業績の内容

2024年12月期第3四半期の連結業績は、売上高72,197百万円（前年同期比4.6%増）、営業利益7,419百万円（同11.0%減）、経常利益7,421百万円（同12.1%減）、親会社株主に帰属する四半期純利益5,266百万円（同14.0%減）であった。前年同期と比較して売上高は増加したものの、利益は減少した。これは、販売費及び一般管理費の増加や為替差損が影響したためと考えられる。業績予想との乖離は特に見られなかった。

3. 次期業績予想の内容

2024年12月期の業績予想は、売上高97,000百万円（前年同期比4.2%増）、営業利益9,600百万円（同4.1%減）、経常利益9,700百万円（同4.5%減）、親会社株主に帰属する当期純利益6,900百万円（同8.4%減）である。業績予想の根拠としては、公共事業の需要が堅調であることや、海外市場の成長が挙げられる。ただし、リスク要因としては、国内外の経済情勢や建設コストの上昇が影響する可能性がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年12月期の予想配当額は150.00円であり、前期から変更はない。配当の維持は、安定した利益の確保と株主還元の姿勢を示すものである。

5. 株価予想

上記を考慮し、向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。