トレンドマイクロの銘柄分析

1. 環境分析

トレンドマイクロ株式会社は、セキュリティソフトウェアの開発・販売を行う企業であり、主に法人向けと個人向けのセグメントに分かれています。法人向けビジネスでは、ネットワーク関連セキュリティやAI活用次世代SOC関連セキュリティが中心であり、個人向けビジネスではPCおよびモバイルデバイス向けのセキュリティソリューションを提供しています。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：サイバー攻撃の増加に伴い、企業や個人のセキュリティ意識が高まっている。特に、AI技術の進展により新たなセキュリティリスクが生じており、需要は堅調に推移している。
・競争における供給の状況：競合他社も同様のセキュリティソリューションを提供しており、特にAIを活用した製品が増加している。供給側の競争は激化している。
・既存競合他社について：シマンテックやマカフィーなどの大手企業が存在し、特に法人向け市場では競争が厳しい。これらの企業は、技術革新やマーケティング戦略を駆使してシェアを拡大している。
・新規参入企業について：新興企業がAIやクラウド技術を活用した新しいセキュリティソリューションを提供しており、競争が一層激化している。特にスタートアップ企業が注目を集めている。
・代替品について：オープンソースのセキュリティソフトウェアやフリーウェアが代替品として存在し、特にコストを重視する顧客に対して競争力を持っている。

2. 当期業績の内容

2024年12月期第3四半期の連結業績は、売上高202,658百万円（前年同期比10.3％増）、営業利益39,237百万円（同32.5％増）、経常利益38,331百万円（同20.0％増）、親会社株主に帰属する四半期純利益26,418百万円（同106.3％増）となった。前年同期に比べて全体的に増収増益であり、特に法人向けビジネスが好調であった。前期との差異としては、特に法人税の減少が影響している。

3. 次期業績予想の内容

2024年12月期の通期業績予想は、売上高271,000百万円（前期比9.0％増）、営業利益52,900百万円（同62.3％増）、経常利益50,100百万円（同38.5％増）、親会社株主に帰属する当期純利益34,600百万円（同222.4％増）とされている。業績予想の根拠としては、引き続き法人向けビジネスの成長が見込まれており、特にAI活用次世代SOC関連セキュリティの需要が高まると考えられている。ただし、円安の影響や競争の激化がリスク要因として挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年12月期の期末配当は未定であり、前期からの変更はない。株主還元に関しては、自己株式の取得が行われており、株主への還元を重視している。前期の配当金738.00円からの変更はないが、今後の業績に応じて配当方針が見直される可能性がある。

5. 株価予想

上記の業績や市場環境を考慮すると、向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は安定すると考えられる。