日本電波工業の銘柄分析

1. 環境分析

日本電波工業株式会社は、水晶振動子、水晶発振器、その他の水晶デバイス、応用機器、人工水晶及び水晶片等の水晶関連製品を製造・販売する企業である。主なセグメントは水晶振動子、発振器、その他の水晶デバイスであり、特に車載市場と移動体通信市場に強みを持つ。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：車載市場では、世界的な完成車生産台数が前年を下回る水準で推移しており、新車販売の減速やEV市場の成長鈍化が影響している。一方、移動体通信市場では、大手スマートフォンメーカー向けの需要が堅調で、前年同期比で増加している。
・競争における供給の状況：供給側では、原材料の価格変動や供給チェーンの混乱が影響を及ぼしているが、企業は生産効率を高める努力を続けている。特に、生成AIの需要拡大により、データセンター向けの需要が増加している。
・既存競合他社について：競合他社は、同様の製品を提供しており、価格競争が激化している。特に、海外の企業が価格競争力を強化しているため、国内企業は差別化戦略を模索している。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、技術革新を背景に新たなプレイヤーが市場に参入する可能性がある。特に、AI関連技術を活用した新製品の開発が期待される。
・代替品について：代替品としては、他の半導体デバイスや新しい技術が考えられるが、現時点では水晶デバイスの特性を代替できるものは少ない。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第2四半期の連結業績は、売上高26,308百万円（前年同期比6.7％増）、営業利益2,363百万円（同26.7％増）、税引前利益1,856百万円（同30.8％増）、中間利益1,407百万円（同18.3％増）であった。前年同期は業績が低迷していたが、今期は特に移動体通信向けの売上が好調で、業績が改善した。前期との比較では、売上高は予想を上回ったが、車載市場の影響で一部セグメントでは期待に届かなかった。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の業績予想は、売上高52,500百万円（前年同期比4.4％増）、営業利益4,500百万円（同3.6％増）、税引前利益3,200百万円（同2.3％増）、当期利益2,500百万円（同7.1％増）である。リスク要因としては、世界経済の不透明感や原材料価格の変動、競争の激化が挙げられる。特に、車載市場の回復が遅れる場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期第2四半期において、配当額は15.00円であり、前年同期の10.00円から増加した。次期も同額の配当を予想しており、株主還元に対する姿勢を示している。配当の増加は、業績改善に伴うものであり、安定した利益を背景にしたものである。

5. 株価予想

上記の業績や市場環境を考慮すると、向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率も当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は安定すると考えられる。