タダノの銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は、建設用クレーン、車両搭載型クレーン、高所作業車などを主な製品とする株式会社タダノである。セグメント情報としては、日本、欧州、米州、オセアニア、その他の地域が挙げられる。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：日本国内では大規模工事が実施・計画されているが、オペレーター不足や労働時間上限規制の影響で需要が減少している。海外ではアジア・オセアニア・アフリカでの需要が減少したものの、全体としては増加傾向にある。
・競争における供給の状況：供給側では、特に欧州において生産制約が続いており、工場再編の影響で生産効率が低下している。これにより、供給が需要に追いつかない状況が見られる。
・既存競合他社について：競合他社は、国内外での市場シェアを拡大しようとする動きがあり、特に北米市場においては競争が激化している。
・新規参入企業について：新規参入企業の動きは見られるが、既存の大手企業に対抗するためには技術力や資本力が求められるため、参入障壁は高い。
・代替品について：代替品としては、レンタルサービスや中古機械の利用が増加しており、特にコスト削減を求める顧客に支持されている。

2. 当期業績の内容

2024年12月期第3四半期の連結業績は、売上高212,689百万円（前年同期比4.3%増）、営業利益19,408百万円（同47.1%増）、経常利益17,136百万円（同46.7%増）、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,779百万円（同77.8%増）であった。前期と比較して、特に営業利益と純利益の増加が顕著であり、売価改善や為替の影響が寄与している。業績予想との乖離は、売上高が予想を下回ったものの、営業利益と経常利益は上回った。

3. 次期業績予想の内容

2024年12月期の通期連結業績予想は、売上高290,000百万円（前期比3.5%増）、営業利益23,000百万円（同25.3%増）、経常利益20,000百万円（同22.2%増）、親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円（同16.4%減）である。特に、欧州事業再生に伴う特別損失計上が影響し、純利益は前回予想を下回る見込みである。リスク要因としては、世界的な金融引き締めや中国経済の不透明感、地政学的リスクの高まりが挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年12月期の予想配当金は、前期の19.00円から23.00円に増加する見込みである。これは、業績の改善を反映したものであり、株主還元の強化を図る意図がある。

5. 株価予想

上記を考慮し、向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。