杏林製薬の銘柄分析

1. 環境分析

杏林製薬株式会社は、医療用医薬品を中心に事業を展開している。主なセグメントは新医薬品（国内・海外）、後発医薬品、診断事業である。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：国内医療用医薬品市場は薬価改定の影響を受けつつも、新薬の需要は堅調に推移している。特に新医薬品の普及が進んでおり、医療機関での需要が高まっている。
・競争における供給の状況：供給面では、後発医薬品の供給が安定しているが、品質確保のための取り組みが求められている。新薬の供給は、製造体制の強化により改善されつつある。
・既存競合他社について：競合他社は新薬の開発競争が激化しており、特に大手製薬会社が新薬の市場投入を進めている。杏林製薬は独自の研究開発を強化し、競争力を維持している。
・新規参入企業について：新規参入企業は少ないが、バイオテクノロジー企業が新薬開発に参入しており、競争が激化する可能性がある。
・代替品について：代替品としては、ジェネリック医薬品が存在し、価格競争が影響を及ぼす可能性がある。特に後発医薬品市場では、価格競争が厳しい。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第2四半期の連結業績は、売上高55,139百万円（前年同期比0.4％増）、営業利益1,549百万円（同16.0％増）、経常利益2,050百万円（同29.9％増）、親会社株主に帰属する中間純利益1,255百万円（同33.6％減）であった。売上高は新薬の伸長により増加したが、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期に計上した投資有価証券売却益の反動で減少した。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高123,400百万円（前年同期比3.2％増）、営業利益6,500百万円（同4.3％増）、経常利益6,900百万円（同1.1％増）、親会社株主に帰属する当期純利益5,000百万円（同8.7％減）である。新薬の普及とコスト競争力の向上が成長の要因とされるが、薬価改定や市場競争の激化がリスク要因として挙げられる。

4. 投資に関する事項

配当は2025年3月期第2四半期末で20.00円、通期予想は52.00円で変更はない。配当維持の理由は、安定したキャッシュフローと株主還元の方針に基づくものである。

5. 株価予想

業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は「横ばい」と予想される。