ニチリンの銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は自動車部品の製造・販売を行っており、主なセグメントは日本、北米、中国、アジア、欧州である。

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：自動車業界全体でHV（ハイブリッド車）需要が増加しているが、国内市場では能登半島地震や大手メーカーの認証不正問題による影響で出荷が減少している。海外市場では中国市場の販売低迷が続いている。
・競争における供給の状況：半導体等の部品供給不足が緩和されつつあるが、依然として供給チェーンの不安定さが影響を及ぼしている。特にEV関連部品の供給が課題となっている。
・既存競合他社について：国内外の自動車部品メーカーが競争しており、特にEV市場への対応が求められている。競合他社は新技術の開発やコスト削減に注力している。
・新規参入企業について：EV市場の成長に伴い、新規参入企業が増加している。特にテクノロジー企業が自動車部品市場に進出しており、競争が激化している。
・代替品について：EVやHVの普及により、従来の内燃機関車向けの部品需要が減少している。代替品としては、EV用のバッテリーや充電インフラ関連の製品が挙げられる。

2. 当期業績の内容

2024年12月期第3四半期の売上高は53,471百万円で前年同期比4.0%増加したが、営業利益は6,813百万円で前年同期比0.2%減少した。経常利益は7,226百万円で9.4%減少し、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,262百万円で2.3%減少した。業績の減少は、主に中国市場での販売低迷や国内の出荷停止の影響によるものである。

3. 次期業績予想の内容

2024年12月期の業績予想は、売上高72,000百万円、営業利益9,000百万円、経常利益9,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,300百万円を見込んでいる。リスク要因としては、中国市場の不振や米国の関税リスク、地政学的リスクが挙げられる。これらの要因が業績に与える影響を注視する必要がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年12月期の期末配当が1株当たり普通配当75.00円に記念配当5.00円を加え80.00円となる。年間配当金は155.00円を予定しており、記念配当の実施は株主への感謝の意を表すものである。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。