ＡＧＣの銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：日本国内外での建築ガラスや自動車用ガラスの需要は減少傾向にあるが、エレクトロニクス分野ではEUV露光用フォトマスクブランクスなどの需要が堅調に推移している。特に、液晶用ガラス基板の需要が増加している。
・競争における供給の状況：供給側では、原材料価格の変動が影響を及ぼしており、特に苛性ソーダや塩化ビニル樹脂の価格が下落している。これにより、コスト構造が変化し、利益率に影響を与えている。
・既存競合他社について：競合他社は、特に建築ガラスや自動車用ガラス市場において、価格競争が激化している。欧州市場では販売価格が下落しており、競争が厳しい状況が続いている。
・新規参入企業について：新規参入企業の動向は不明だが、エレクトロニクス分野では新技術を持つスタートアップが増加しており、競争が激化する可能性がある。
・代替品について：代替品としては、プラスチック製品や他の素材が挙げられ、特に軽量化やコスト削減を求める市場ニーズに応じて、代替品の採用が進む可能性がある。

2. 当期業績の内容

2024年12月期第3四半期の業績は、売上高が1,534,224百万円で前年同期比3.4％増加したが、営業利益は94,012百万円で1.6％減少した。税引前利益は744億円の損失となり、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は1,064億円の損失となった。前年同期と比較して、特にロシア事業の譲渡による減収や、ライフサイエンス部門での減損損失が影響した。

3. 次期業績予想の内容

2024年12月期の通期業績予想は、売上高2,100,000百万円、営業利益130,000百万円を見込んでいる。リスク要因としては、原材料価格の変動、為替リスク、そして新型コロナウイルスの影響が挙げられる。特に、ライフサイエンス部門の回復が業績に与える影響が大きいと考えられる。

4. 投資に関する事項

配当については、2024年12月期の予想配当は210.00円で、前期と同水準を維持する見込みである。配当額の変更はないが、業績の回復が見込まれる場合には、将来的な増配の可能性も考慮される。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想する。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は横ばいであると考えられる。