飯野海運の銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：世界経済は緩やかに回復しており、特に米国では個人消費が増加している。日本国内ではインバウンド需要が堅調で、物価高の影響を受けつつも個人消費に持ち直しの動きが見られる。海運業界では、ケミカルタンカーの需要が高い水準で推移している。
・競争における供給の状況：ケミカルタンカーの新造船の竣工が限定的であり、供給が需給バランスを保っている。紅海周辺の治安悪化が影響し、供給の不安定さが見られる。
・既存競合他社について：競合他社は、特にプロダクトタンカーの市況が軟化している中で、ケミカルタンカー市場においては安定した収益を確保している企業が多い。
・新規参入企業について：新規参入企業の動向は不透明であるが、海運業界の高い参入障壁により、急激な新規参入は見込まれない。
・代替品について：代替品としては、他の輸送手段（鉄道やトラック輸送など）が考えられるが、海運のコスト競争力や環境負荷の低さから、代替品の影響は限定的である。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第2四半期の業績は、売上高739億98百万円（前年同期比9.5％増）、営業利益98億92百万円（12.2％増）、経常利益89億50百万円（13.6％減）、親会社株主に帰属する中間純利益96億29百万円（0.4％減）となった。売上高は増加したものの、経常利益が減少したのは、為替の影響や燃料油価格の上昇が要因である。前期と比較して、営業利益は改善したが、経常利益の減少は業績予想との乖離を示している。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高146,000百万円（5.8％増）、営業利益17,400百万円（8.7％減）、経常利益16,900百万円（22.5％減）、親会社株主に帰属する当期純利益17,200百万円（12.9％減）とされている。ケミカルタンカー市況は高い水準を維持する見込みだが、人件費や燃料費の上昇がリスク要因として挙げられる。特に、急激な円高進行や燃料油価格の変動が業績に影響を与える可能性がある。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期第2四半期末の配当金は25円00銭と決定され、期末配当は24円00銭を予定している。配当性向は30％を基準としており、業績の向上に向けた努力が続けられる。前期からの変更はないが、今後の利益水準や財政状態を考慮して、期末配当金の決定が行われる予定である。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「横ばい」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績成長率が当期実績の成長率と同水準であるため、株価の反応は安定すると考えられる。