ワコムの銘柄分析

1. 環境分析

当該企業は以下の環境に置かれている。
・競争における需要の状況：IT市場においては、モバイル、クラウド、AI、ブロックチェーンなどの技術革新が進行中であり、特にデジタルペンやタブレットの需要が高まっている。しかし、経済の不確実性や地政学的リスクが影響し、消費者の購買意欲には慎重さが見られる。
・競争における供給の状況：競合他社も同様の技術革新を進めており、特にデジタルデバイス市場では新製品の投入が相次いでいる。これにより、価格競争が激化している。
・既存競合他社について：ワコムの競合には、アドビやマイクロソフトなどの大手企業が含まれ、特にクリエイティブソリューション市場においては、これらの企業が強力なブランド力を持っている。
・新規参入企業について：新興企業がデジタルペンやタブレット市場に参入しており、特に低価格帯の製品を提供する企業が増加している。これにより、価格競争がさらに激化する可能性がある。
・代替品について：デジタルペンやタブレットの代替品として、スマートフォンやタッチパネル式のデバイスが挙げられる。これらのデバイスは、特に若年層に人気があり、ワコムの製品に対する需要に影響を与える可能性がある。

2. 当期業績の内容

2025年3月期第2四半期の業績は、売上高57,315百万円（前年同期比3.1％増）、営業利益5,475百万円（同122.9％増）、経常利益4,785百万円（同4.1％減）、親会社株主に帰属する中間純利益3,470百万円（同8.8％減）となった。売上高は前年同期を上回ったものの、為替差損の影響により経常利益は減少した。特に、ブランド製品事業の売上が減少したことが影響している。

3. 次期業績予想の内容

2025年3月期の通期業績予想は、売上高120,000百万円（前年比1.0％増）、営業利益8,500百万円（同20.4％増）、経常利益8,500百万円（同13.7％減）、親会社株主に帰属する当期純利益6,200百万円（同35.9％増）とされている。業績予想の根拠としては、デジタルペン技術の標準化や教育市場での需要拡大が挙げられるが、地政学的リスクやインフレの影響がリスク要因として存在する。

4. 投資に関する事項

配当については、2025年3月期の配当予想は前期と同様に20.00円であり、変更はない。配当の維持は、安定したキャッシュフローを背景にしたものであり、株主還元の姿勢を示している。

5. 株価予想

向こう3ヶ月以内の株価変化は「やや上昇」と予想される。業績が当期の業績予想と同水準であり、次期業績予想も当期業績と同水準であるため、株価は安定した動きを見せると考えられる。